特集1 秩父の保健婦活動・昨日今日
若年の人口流出で成人病が中心に
新井 トク
1
1埼玉県秩父郡吉田町役場
pp.107-111
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205434
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高齢者のみ山村にとり残されて
吉田町は埼玉県の最西端にあって群馬県側に面し,山の中腹に集落を形成する町で,総面積66.75km2のうち,平坦地はわずか20%で,大部分は山野におおわれている。当町は昭和31年に上吉田村と合併し,人口9,264人,世帯数1,704戸となったが,その後年々減少傾向を示している。特に山間部落では,15年間に半減をみるような集落もあり,年齢構造の老齢化現象が進み,高齢者のみが山村部にとり残され,後継者もなく,さらに人口の減少傾向が続くものと予想される。 若年層を中心とした人口流出は,昭和30年以降年々200人前後である。したがって年齢構造は,65歳以上が全体の13.5%を占め,県平均の5.1%に比べると,当町は2.6倍以上の老齢者をかかえている現状である。現在の人口は7,143人,世帯数1,614戸で,国保加入率70%,群内最高の加入率を示している。そしてこのほとんどの農家が兼業農家で,労働力となる若い人達はほとんど勤めに出ている。そのため中年層が労働の中心であり,農閉期には日雇労務者として出稼ぎに行き,中年層の労働過重が目立っている。
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