特集2 患者のみかた,とらえかた(Ⅱ)
患者の観察のしかた(Ⅱ)—生活環境を中心に
田辺 正忠
1
1早稲田診療所
pp.32-44
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
社会的な背景について話をするわけですけれども,本来ならば保健婦の皆さんのほうから話を聞かせていただくほうが,ほんとうの気もするんです。木下先生初め,社会的な問題意識というか,十分にそういう仕事をなさっている方々の前で病気の背景について話すことは,逆の面もあるんですけれども,日ごろの体験を通して考えるところを話してみます。
日本全体で考えてみれば,日本の医療制度は国庫扶助の少ない,低医療費政策におぶさっている。もちろん病院もありますし,研究所もあるわけですけれども,大学病院にしても,赤字を予定した,差額ベッドを必要とする保険点数でまかなわれていくわけですね。そういう保険主義とか独立採算制とかで,国は国民の健康についてごくわずかしか自分の手をよごさない。結局,国民の1人1人に,おまえたち,かってに相互扶助でやっていけというのが,いまの日本の保険制度だと思います。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.