特集 荒廃する対人保健サービス
静岡県にみる保健所統廃合の実態と保健婦活動
住民サービスとは口先だけの現状
伊藤 かち子
1
1静岡市中央保健所
pp.394-398
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205298
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
保健所の概況と保健婦の現状
徳川家康が隠居所に選んだ静岡の地は,気候温暖,四季の草花・果実に富み,その風土のなかでつちかわれた人間性は,いたって温和である。"静かな岡"という名のように安倍川の下流に開けた静かな城下町であったが,昭和44年1月1日安倍郡六カ村を合併したことにより,南アルプスまで静岡市となり,自然環境,気候風土も変化に富んだ土地柄となった。面積は1,145,960km2で,いわき市につぎ全国2番目の広域都市の名のりをあげた。このなかに保健所(政令市)は中央,南の二つがあるだけで,中央保健所は全面積の97%を管内としている。片道60kmという遠隔地もあり,10名たらずの健康診断や予防注射にも,1日がかりで数名の職員が従事しなくてはならず,往復の所要時間4時間,実務20分ということもときにはあり,時間単位の業務量は減少した。
安倍郡合併後は行政上のニードでへき地医療に重点をおき活動してきた。しかし,人口の97%をしめる市街地域にも多くの問題があり,行政のニード,地域住民のニードの間で保健婦が悩んでいる現状である。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.