声
森永問題をすべての公害と結びつけて
山本 留美子
1
1和歌山県龍神村役場
pp.6
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205149
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この8月16日,森永乳業は砒素ミルク中毒事件について突然いままでの態度をかえ,"因果関係を認め,被害児の救済に会社は全力をあげる"という趣旨の報道を,マスコミを通じて行ないました。思えば事件が発生して17年もの間被害児やその親たちにそっぽを向いてきた森永が,なぜ急に態度をかえたのか不自然であり,私はこの報道を知ったとき,いままでとってきた森永の態度と,その差があまりにも大きいことに事実驚いたのです。
しかしこの報道を読んだ限りでは,四日市裁判,富山県のイタイイタイ病裁判など一連の公害裁判での,企業責任を認め被害者側の全面勝利という状態,公害に対する世論の盛り上がりや,"森永ミルク中毒児を守る会"の運動などを背景に,森永も良心的な態度に変更し,誠意をもって被害児救済に取り組むようになったのだろうと考え,"守る会"の運動が実を結び,大勢の被害児が救われるという一種の安ど感をもったことは事実でした。
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