資料 健康管理論 序論3
健康管理の内容と方法
田中 恒男
1
1東大医学部保健学科
pp.46-50
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205029
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健康管理の内容
前章で明らかにしたように,健康管理の本質は"人々の健康にかかわるあらゆる問題を,生活という側面にたって,専門的な世話をしていこう"とするものであり,"そのための体系づくりと調整・運営の仕組み"を含むものである。日本医師会ではこのシステムを"地域医療community medicine"といっているが,医療という用語は健康管理health careと全く同義に使われている。
本来健康管理は,ポジティブ-ヘルスpositive healthという観点にたって,健康の積極的な増進から,その維持,健康危険からの予防(当然健康危険の除去を含む),健康の破綻に関してのいっさいの世話,後保護から社会復帰までを一連の体系として地域住民に提供する仕組みである。すでにしばしばふれたように1)行政上の理由だけで社会防衛的側面を強調し,個人の人権侵害にまでつながる可能性のある疾病対策を考えるなら,健康管理はまさにそのアンチ-テーゼであり,同じ疾病を扱っても全く思想的根拠も異なれば,扱う姿勢も広がりも異なるものである。
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