仕事と人生
最近の1年生
原田 ミユキ
1
1東京都板橋区立若葉小学校
pp.9
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204977
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はじめて1年生を担任したのは戦後間もない昭和25,6年ごろでした。九州のいなかのその学校は私の母校でもあり,若さにまかせて思いっきり子供たちと遊んだり,勉強したりしたように記憶しています。理科の自然観察では子供たちとなんの心配もなく,レンゲ草を摘みに行ったり,とんかちを持って川原の石をたたいてみたり,きれいに色づいた山で木の葉を集めたりしたものでした。
その後上京して,すでに18年目を迎えています。その間,1年生を担任するのは今年で9回目です。1年生はなん回担任してもたいへんだと思います。でも担任するごとに,子供たちへの愛情がましていくのです。これはだんだん子供たちとの年齢がひらいていくせいなのでしょうか。もういいかげんにこの仕事から身をひいたほうがいいのではなかろうかとも思うのですが,学校へ行くとそんな気持などみじんも起きないのです。そしてできるだけ時間をさいて,個々の子供たちと対話しようとつとめています。昔は若いせいもあって,子供たちと本気になって遊んだのですが,最近はどうも忙しすぎて遊ぶ時間が少ないようです。私は家に帰ってやれる仕事(採点・週案・その他)は,学校ではしないことにしています。以前は家に仕事を持ち帰ることはめったになかったのです。
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