研究・調査・報告
所得階層別"ねたきり老人"の調査研究
土井 富美子
1
1大阪市城東保健所
pp.52-56
発行日 1971年10月10日
Published Date 1971/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204969
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私たちは,昭和38年から継続して老人の調査研究を行ない,その結果を発表してきたが,今回は,区内全老人を所得階層別,すなわち市民税所得割世帯,市民税均等割世帯,市民税非課税世帯,生活保護世帯の4階層に分類し,昭和45年2月に区内全地区の民生委員に名簿作製を依頼して,全老人10,929名(65歳以上)のなかから"ねたきり老人"全員,すなわち288名をリスト‐アップした。4か月後の6月に保健婦によってその288名の訪問調査を行なった。
表1にしめすように,わずか4か月の間にねたきり94名,死亡41名,入院30名,転出14名,不明5名と変化していた。以上のことからでもいわゆる"ねたきり"といわれる状態は死亡・入院も多く,非常に変化しやすい状態であることがわかると同時に,大都会における人口移動の激しさは,転出数および不明の多いことでもわかる。この転出は家ぐるみの転出のほかに,老人だけの"たらいまわし"的な転出も含まれている。回復者といえども,またいつ症状が悪化するかもわからない不安定な状態であることはいうまでもない。
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