連載 臨床で研究に親しむ・22
質的研究は臨床看護婦に与えられた特権
金井Pak 雅子
1
1国際医療福祉大学
pp.978-981
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905694
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患者の言動の背景にあるものを考える
臨床の場で,毎日患者と接しているナースにとって,患者の言動について考えさせられたり,ハッとさせられたりすることがあります.また,どうしてそのような言動をとるのか理解しがたい場面もあります.
筆者がアメリカに留学中,産科病棟での実習で,ある時大声がしてそのうち叫び声が聞こえてきたことがありました.一瞬非常事態が起こったのかと思うほどでしたが,その声は分娩室から聞こえてきており誰かが分娩中ということがわかりました.看護婦やほかの学生はあまり驚いている様子がなかったのですが,日本での実習では,分娩時に大声で「わめきたてる」ことは前代未聞のことでしたので,いささか驚きました.また,その時の産婦に対しては「なんとがまんのない人なのかしら」と思ったほどです.その後実習や臨床でナースとして働くうちに,米国人は自分の感じている痛みをありのまま表現するということがわかってきました.
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