第28回日本公衆衛生学会総会シンポジウム
4.食品工業技術の立場から
吉田 勉
1
1東京都立立川短期大学
pp.14-17
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204939
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吉田勉 食中毒の原因を,原料由来,製造工程由来,通過程由来などに分類しますと,森永砒素ミルク,およびカネミ米糠油による両中毒事件は,ともに製造工程に由来する中毒事件であります。
まず初めに森永砒素ミルク事件につきまして申し上げます。特集号No. 1の47ページに載せました育児用調製粉乳の製造工程図を御覧頂きます(図3)。牛乳から始まりまして,検査,濾過,冷却,貯乳と処理された次の調乳の段階で,ミネラルの強化剤や蔗糖を添加いたします。このところで森永ミルク事件の際には,酸度の上昇した牛乳を中和することにより,加熱・濃縮過程中の牛乳の凝固を防止するための安定剤として,粗悪な第2リン酸ナトリウムが使用されたわけであります。
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