特集 保健所再編成の動き
第Ⅲ部 現場の声
実践あるのみ
淡路 房子
1
1厚木保健所
pp.99-100
発行日 1971年3月10日
Published Date 1971/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204883
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多くの保健婦は悩んでいる。どうしたら良い看護サービスをより多くの地域住民のために提示することができるかと。このことは,保健婦が多少なりとも住民にじかに接しているからこそ出てくる悩みであって,接する機会のない職種の人には理解されにくい。そういう組織の中で働いていることを改めてふり返ってみたい。
雑誌等に投稿されている保健婦の悩みや問題点,これらの多くは看護そのものより,そこに所属する組織体の問題点と一致していることに気づきはしないか。特に保健所や市町村役場という行政組織に所属する保健婦は,行政という枠にしばられ,そのために起ってくる問題点が大半で,ともするとそれをそのまま看護の問題点とすり変えている向きがないでもない。だからもうとっくに解決していなくてはならない問題が今だに山積して身動きもできないでいる。そして保健婦は実際に自分達の活動をすすめていながら,これで良いのか。保健婦本来の仕事は何かと悩まなければならないのは一体どうしてであろうか。――法は変れど行政は変らず――戦後法の上では民主国家になったというが,相変らず上から下への権力的組織の中で行政というベルトコンベアにのっかり過ぎ,それがかえってわれわれの専門性をあいまいにしているのではないか。
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