特集 精神分裂病患者への技術論
私の技術論
桑原 治雄
1
,
山崎 礼子
2
1高茶屋病院
2高知県厚生労働部
pp.42-43
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204851
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1)分裂病をどう考えるか
この病気の中心には,やはり身体的な原因があることは否定できない。この病気に発展する原因を,単純に遺伝だけに片づけてしまうのは誤りだと思う。結核を遺伝だけで説明するより誤っていよう。いまのところ,この病気の発生については判らない。けれど,治療の立場から種々の働きかけが行ないうるのはあきらかである。
今のところ,治療のための配慮から,「つまづきやすさ」「機転あるいは見通しのきかなさ」を病者の特質の中心にして考えている。また,これが一番重要なことだが,病院の中ではあまりにも権利を奪われ,人間的なよろこびから遠ざかっている。医者も看護者も,自分がそのような牢獄の支配者であることすら忘れていて,人間的な生活を奪われた人々が10年以上もこのような「強制キャンプ」にいたらどうなるかすら忘れて,その症状を病院でも退院してからの地域で見ていても,「強制キャンプ」症状と見合けがつかなくなっていることを忘れていないだろうか。
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