特集 精神分裂病患者への技術論
私の技術論
吉田 健男
1
1岡山大医学部
pp.40
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204849
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分裂病者とは「気が小さく,気のきかない怠け者病」にとりつかれた人と思う。しかし,ケースにより,また同じケースでも時期により,その程度は異なっている。気の小さい面が異常に強く,自分と接する世界は不安で満ちているため,人の話・動作が非常に気になり,人と接することがほとんど不可能な状態から,人と接するよりは自分1人の世界に閉じこもりたいという状態,さらには対人接触はそれほど苦痛にならない状態まで,気が小さいという面も幅がある。
怠けの面でも,いわれても憶劫で仲々仕事が手につかないという状態から,開始はするが,仕事の持続性,責任性,協調性および能率の面で問題がより多いという状態まである。しかし,「気が小さく,気のきかない怠け者病」にかかったために,生活を切り開いていくという精神的なエネルギーは少なくなり,生活能力が低下してくる。その意味で,ケースの将来の夢の実現化ないし,より社会的な人間として生きていくためには,ケースの相談指導および保護する人が必要になってくる。
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