扉
田舎の医療
藤岡 正導
1
Shoudou FUJIOKA
1
1済生会みすみ病院
pp.1079-1080
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101296
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昨年,定年を機に熊本市内の大規模病院から田舎の小病院に転任して気づいたことがある.それは,田舎には日本人の美徳である「感謝の気持ち」が色濃く残っていることである.病気が治った患者は,あふれんばかりの感謝の涙で応えてくれるし,治療のかいなく亡くなられた患者の家族も,こちらが恐縮するほど深々と頭を下げお礼の言葉を述べてくれる.都市部で増えているモンスターペイシェントとは別次元の世界である.
「感謝の気持ち」が強いだけ医師への信頼も厚い.手術説明の際には「成功率が○パーセント,合併症の可能性が○パーセント」などデータ中心のインフォームドコンセントは用をなさない.「すべてお任せします」という,よい意味のパターナリズムが生き残っている.信頼が厚い分医師の責任も重くなるが,雑念に惑わされず治療に専念できるため治療成績も良好である.
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