Medical Hi-lite
鞭うち症候群
T
pp.58-59
発行日 1967年2月10日
Published Date 1967/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203869
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最近交通事故で,追突などによって起こる傷害として,鞭打ち症候群(whiplash injurie)という言葉が聞かれるようになった。欧米においてはきわめて古くから取りあげられている傷害であるが,わが国の交通傷害の状況が,この頃欧米のそれに近似してきたためなのであろう。この傷害は,他覚症状が少ないのに,症状はさまざまな形態を示すという特徴をもっている。1928年,米国の整形外科医H. E. Croweがこの語を初めて使用したが,その他,伸展屈曲損傷,頸部症候群,頸部上腕神経血管圧迫症候群,頸性頭痛症候群などともよばれている。
この傷害の原因は,自動車の追突事故の結果として生まれることが多いが,その他スポーツ外傷,頭部への直接障害などによっても起こる。傷害発生率は,自動車追突などの場合50%にもおよぶとみられている。つい最近有名な某喜劇女優が鞭打ち症候にめげず,舞台をつとめて新聞を賑したことがある。
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