実態をさぐる
タバコとニコチン・タール
pp.60-61
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204659
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タバコと肺ガン
欧米先進国で「タバコと肺がん」が問題にとりあげられて久しいが,わが国でもそのことは一般にしられている。しかし,今日,わが国でタバコの売上げは毎年6パーセントほどのび,43年度には7,360億円の売上げがあったという。また,喫煙者も成人男子の約79%,成人女子でも約15%と推定されている。
いっぽう,わが国でも厚生省はタバコの害に関心を寄せ,昭和42年から専門家にがん多発原因に関する疫学的研究を依頼している。その中間報告によれば,タバコを吸わない人の肺がん死亡率は人口10万対0.03人であるのに,1日1〜14本吸う人では0.04入,15〜24本で0.09人,25本以上では実に0.16人にもおよび,25本以上吸う人は吸わない人の約5倍も肺がんで死亡する率が高かったという。一般に,タバコのタールは肺がんの原因と考えられ,ニコチンも心臓など循環器系によくない物質といわれている。タバコ喫煙歴の多少と死亡年指数との関係についてはアメリカの学者のデータがあるのでここに表1として示しておこう。吸わない人にくらべたら,1日に2箱(40本)以上すう人では2倍程高い死亡年指数を示している。また,紙巻タバコをいつも吸っている者の死因別死亡率指数は表2のごとくであったという。これをみてもいかに喫煙者の肺がん発生率が高いか明瞭にうかがえよう。
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