Japanese
English
論述
ニコチン代謝
Nicotine-metabolism
山本 巖
1
Iwao YAMAMOTO
1
1奈良県立医科大学藥理学教室
1Department of Pharmacology, Nara Medical College
pp.154-159
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905811
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まえがき
広くニコチンを中心とした研究は,Chemical Abstractsからこの題目を求めて收録された文献集1)(日本専売公社中央研究所,1950)を瞥見しただけでも,その内容の豊富さと,今日までに払われた先人のなみなみならぬ努力のあとを窮い知ることが出来るであろう。かつて宇賀田2)(1934)はその著「医学煙草考」に於て,広く当時までの関係論文を渉猟して,ニコチンが主役を演ずるこの草の常用による有害を必然的に警告せねばならなかつた。藥物習慣を研究する者の立場からすると私もNicotine-habitを一応,阿片アルカロイドなどによるAddictionと区別して考えることが正しいとする説3)に同意するものであるが,いずれにせよ,藥物が反覆長期に及んで摂取せられた場合の生体反応の変化を追求するに当つても,これら藥物の代謝様式に関する知見が要求される。
さて,かゝる見地に立つて,注意深く,ニコチンそのものゝ代謝を眺めてみると,過去の業績は思いのほか乏しくて,くらやみの部分が多いように思える。私がこの方面の研究を行つているのも以上の理由につきる。以下,ニコチン代謝に関連をもつた若干の問題をとらえて,私たちの実験成果を織りまぜつつ,その概略を述べたい。
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