特集 都市の保健婦
大都市における地区組織活動の一事例—渋谷区笹塚地区の経験から
小野 洋子
1
1東京都渋谷保健所
pp.33-38
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204462
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I 保健婦活動についての私の考え
保健婦活動はどうあるべきかについては,種々論議されているが,やはり都市や農村の姿,住民の生活内容の変遷とともに変化してゆくべきもので,この意味からは常に新らしい問題であると思う。ここでは都市保健所の保健婦として地区活動を行なってきた数年間の経験をまとめてみた。「保健婦活動とは,広汎な公衆衛生活動の1部を受け持ち,個人,家族,集団,一定の地域を対象として健康問題を肉体的,精神的,環境的,経済的,社会的に把握し,生命を守ること,疾病異常の回復,予防,健康増進を援助する組織的な働きかけである。」(公衆衛生看護双書より)。このような定義づけのもとに各分野の保健婦活動がなされている。これを私の立ち場で現わすと,「保健婦とは公衆衛生活動の中で広い意味の看護を中心として対象の健康保持増進の担い手となるものであり,その実践のために,家庭訪問指導,集団衛生教育活動が行なわれる。保健所という行政機構の中でその活動がどの程度可能かは個々に異なってくると思う。保健婦事業発足当時はもちろんのこと,今日まで一般に訪問看護婦的な活動がされてきたが,現代社会の中では地域を見直し,われわれの仕事の内容を再検討し,地域の再組織化や目的集団への健康教育も再検討されるべきであると思う。
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