特集 国保保健婦活動
国保保健婦全国学術研究会集録
国保保健婦全国学術研究会発表演題
研究発表
国保医療と保健婦活動—特にモデル地区を中心として
渡部 里子
pp.77-80
発行日 1968年11月20日
Published Date 1968/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204334
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はじめに
経済の成長と国力の著しい伸展をとげた今日では,社会保障制度の改善充実,さらに高度な福祉行政の浸透,近代的福祉国家の早期実現を図ることが,国県市町村を挙げて当面する大きな課題の一つであり,私たち国民の共通した願いであると思う。もちろん国民健康保険制度も,相互扶助の精神に基いた保健上の社会保障の一つであると考えられるもので,被保険者である多くの人びとが恩典を受けている。七割給付に伴う医療費の値上り,受診率の増嵩のため,保険税の負担もその限界に達し,市町村にとっては国保財政の危機が伝えられている。
こうした国保運営の危機に際し,保健婦活動の果す役割の重要性を再認識し,工夫と努力を重ね善処する責任を痛感すると共に,併せて保健衛生の向上を通じて,住民の福祉増進に寄与しなくてはならないと強く考えている。それには地域にとけこんだ衛生教育,さらには健康に恵まれない人びとに対する,よき相談相手としての立場をとることであろう。こうした考え方の上に勉強し,職務の遂行に努力しているが,全町的に一挙に成果を期待することは,なかなか容易なことではなくモデル地区を設け,これを中心として波及効果をねらっている。
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