メディカル・ハイライト
ポックリ病
奥平 雅彦
1
1東大医学部病理学
pp.62-63
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204320
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人間が急に死亡した場合"急死"として総括される。急死のなかには,交通事故その他の災害や中毒,自殺および他殺などのいわゆる外因死と,突然または予期しない時に急激に死の転帰をとるいわゆる内因性急死(sudden and unexpected deaths)の両者が含まれている。"ポックリ病"と呼んでいるものは,内因性急死のなかで,一見健康そうに見える若い男性が就寝中唸り声をあげてわずか数分間の間に死亡し,あるいは寝る時までは全く異常がないと思われたのに,翌朝就床状態のまま死亡しているのを発見されるという,特有な死に方をする一群のものに対して与えられた,いわば俗称である。
したがって,ポックリ病という病名は厚生省の統計や国際的な死因分類において疾患名として正式に採り上げられているわけではない。既知の疾患概念にあてはまらないので,しょうことなしに"ポックリ病"というニックネームを使用しているのに過ぎない。また,ポックリと死亡するもののすべてをポックリ病と呼んでいるわけでもない。そこで,まず内因性の急死について少しばかり説明をした上で,ポックリ病の特徴というものをのべてみたい。
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