生きている法律
第8回 医療関係者としての「保健婦」さんの位置
佐藤 進
1
1金沢大学法律学社会保障
pp.64-65
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204321
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保健婦さんは,そのおかれている職場環境で,とりわけ国保保健婦さんの場合には,公衆衛生や予防面のみではなく,治療,診療的な医療行為の領域にまで入らざるをえない現実になっている。いずれにせよ,保健婦さんの仕事が,保助看法の規定に即することを可能にする職場もあろうし,無医村地区の多い山間村,農村部ではなかなか難しいことであろう。このような医療環境の相違が,日本の社会保障行政の貧困さと関連して保健婦さんをして,時には医師でもなければ,時には看護婦でもなければ,しかし一方医師なみの,また看護婦なみの取り扱いに割り切れないものを感じさせるのであろうか。しかし,責任を求める法はぎびしい。
ともかく,現実的には,臨床医療従事の仕事の濃度に比して,予防給付従事の仕事の方が密度が低いということが—そうはいっても,都市部と山村部とでは必ずしもそうではないのかもしれないが—逆に「保健婦」と「看護婦」との間の職能需給はいうまでもなく,技術的な違いを生み出していることも否定できない。(保健婦さんに反響をもたらした川上武先生の5月号の「保健婦論」を参照)。
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