米国短報
長期ケア保険をどう選ぶか(2)―スポック博士もつまずいた保険選びの難しさ
Scott 渡辺 由佳里
pp.476-477
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901829
- 有料閲覧
- 文献概要
米国老人福祉の厳しさをみせつけたスポック博士の最晩年
『スポック博士の育児書』のスポック博士が今年の3月に亡くなりましたが,亡くなる直前に博士夫婦が経済的困窮に直面していることがわかり,ニュースになりました.『スポック博士の育児書』は米国のみならず,全世界でミリオンセラーになっており,その印税収入だけで20億円とも30億円ともいわれています.晩年の年収も50万ドル(約6千5百万円)と94歳の高齢では例外的に高額ですし,経済的困窮は誰にとっても理解しがたいものでした.最初の妻との離婚,政治キャンペーンなどが資産を枯渇させたともいわれていますが,新聞記事を読んだ限りでは,根本的な原因は博士が自分の高齢化を考慮した人生設計をしていなかったことにあるようです.晩年のスポック博士は高齢に伴う慢性疾患の数々に罹患し,その医療費と在宅ケアの費用は,亡くなる直前には月額約1万ドル(約130万円)に達していました.加入していた保険では本人の希望するケア(24時間在宅ケアなど)が適用にならないため,ほぼ全額自己負担でした.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.