シンポジウム 公衆衛生を担う人びと
東京大学第42回五月祭より収録
心身障害対策と公衆衛生—現場と大学との連携
白木 博次
1,2
1東大
2府中療育センター
pp.47-49
発行日 1968年9月10日
Published Date 1968/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204268
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ここに並んでおられる講師の方がたは,言葉の真の意味で公衆衛生をになっておられますが,私自身がそれに値するかどうかわからない。と申しますのは,私は精神医学教室に10年ほどおりましたが,精神病については,どうももっと基礎的ほりさげが必要だという気持から,脳研究所で神経病理学という基礎医学に転向したからです。したがってそういう者が府中療育センターの院長になり,しかも公衆衛生をになう人びとの中に入れられてみますと,正直いってあまり自信がありませんし,それは今後の問題ではないかと思っております。しかし私としては,心身障害の問題に対して神経病理学の立場からも非常に深い関心がありました。つまり顕微鏡標本の向うに,いつも患者の顔がちらついておりましたし,またこの問題の根本的な解決には,心身障害者の背景となっている社会とのつながりに対決しなければならぬという気持がいつも頭のどこかにひそんでいました。
一方,たまたま府中療育センターの開設にあたって,私は1年半くらい前からその準備委員会委員長として,東京都衛生局のうち,とくに公衆衛生部の母子衛生課の人びとと接触しながら準備を進めてまいりましたし,現在でもその将来計画をも考えております。
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