視点
大学の公衆衛生
荒記 俊一
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.450-452
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901713
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公衆衛生の起源と学術活動
公衆衛生(Public Health)は,産業革命期の英国で誕生し,英米を中心に発展してきた学術である1).その語源をたどると,1847年の英国における公衆衛生法(Public Health Act)の成立が歴史上のエポックになっている.
公衆衛生の主要な専門領域として,以前より疫学,医学統計学,産業保健,環境保健,予防医学,地域保健などがあげられている.さらに最近の日本では,国際保健,社会福祉,行動医学などの新しい領域が注目されている.これらのうち,前者の伝統的な領域はすべて産業革命後期の英国にルーツをたどることができる.例えば,世界の産業保健(Occupational Health)の発展の端緒となった工場法(Factory Act)は,リーズの医師C.T.サックラーの実証研究書“The Effects of Arts, Trades, and Professions, and of Civic States and Habits of Living, on Health and Longevity”の出版が,当時の英国社会の指導的な貴族で国会議員であったシャフツベリーらを動かして立法化に至ったものである.
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