特集 救急医療をさぐる
救急体制の現況と諸問題
岡村 正明
1
1東京消防庁
pp.18-22
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204219
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交通事故が,年々増加し,そのため,事故による死傷者も恐るべき数字を示していることはすでに周知のことであるが,交通事故の発生状況も,単に自動車数の増加ということだけでなく,道路の開発改良,産業経済の進展と関連して,大都市中心部から,地方中小都市に,特に大都市と結ぶ,中間地帯に増加の傾向が著しく,このような地帯での事故は飽和状態に達した大都市中心部のそれと異なって,よりスピードなどの上昇していることなどから,質的にも重傷事故が多くなって,いわゆる"ドーナツ現象"が起ってきている。
他方,交通事故その他の災害に備えての救急体制は,その災害の発生状況から,比較的大都市を中心に整備されてきたのであるが,最近の交通事故の様相の変化から,特に地方中小都市,あるいはこれら諸都市間を結ぶ沿道地帯に対する対策が急がれてきた。その結果,これまで人口10万以上の都市に救急車整備を義務づけていたのを,5万の段階にまで拡大し,また必要に応じ中間地帯にも実施するなど,救急車のネットを全国的に張りめぐらすことが進んでいる。このように,事故現場で救急車が出動して,医療機関に迅速に収容しようとする。
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