特集 脳をめぐる今日の医学
交通外傷と脳障害
平井 秀幸
1
1済生会神奈川県病院脳神経外科
pp.33-37
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204074
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はじめに
最近,はげしさを増す交通ラッシュ,スピード化は交通事故の増加という大きな社会問題を呈するにいたった。交通事故による外傷のなかで頭部外傷は,他の交通外傷と比して,死亡者がもっとも多いこと,患者が多数発生していること0さらに,その症例の複雑さ,後遺症の恐怖などにより重要視されてきた。数年来,頭部外傷対策として救急医療,脳神経外科医の必要性,リハビリテーション問題が各方面で論じられている。
頭部外傷によりおこる脳の障害は,それぞれの時期にいろいろの状態がある。また脳はその機能がきわめて精密に組み合わされてでき上っているので,脳の障害によって相当する機能の障害が現われ,ある症状は,それに相当する脳の一部の障害を意味するというように1対1の対応がある。そこで,われわれが頭部外傷患者を診療する場合,その神経学的検査により脳の障害の部位,程度を知ることができる。
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