特集 保健指導とカウンセリング
健康相談とカウンセリング—学校保健にみる具体例を中心
戸次 澄美子
1
1神奈川県立衛生短大
pp.31-35
発行日 1967年10月10日
Published Date 1967/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204040
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1.言葉の意味
健康相談という言葉の意味,内容については,さまざまに解釈されているが,私が考えている相談とは,すでに山梨大学学長の福田邦三先生が公衆衛生看護学会,その他でくわしく述べられている内容を意味している。健康相談という意味を二通りにわけて考えると,現在まで診療所,保健所などで行なわれてきた保健指導は,いわゆるConsultationというべきもので,一方から一方へ指導するという立場をとっており,その内容もほんどのものが医学的意味の身体的な健康が中心に指導されている。保健支援というのは,問題を身体的なことよりも,むしろ生活の問題としてとりあげること,あらゆる意味を含んだ人間生活を意味しており,困難あるいは悩みを調整し人を支援するという姿勢が指導者の姿勢ではなく,ともに考え,ともに悩む者の姿勢で,完全なrapporlのもとに仕事が成功することを意味し,広義の意味の保健カウンセリングを意味している。このなかには,もちろん,健康上の悩みの問題も含まれる。相手の人柄はどうかという人間全体の理解,全人格的理解に立った心理学,社会心理学の意味する適応障害の症状としての不安とか,欲求不満も含まれている。一方,相手の生活状況の把握,家庭の背景,環境状況はどうか,などの生活している姿,生活像の把握も必要とされる。
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