連載 話の聴ける助産婦になるために・2
カウンセリングによる心の理解
保健指導にカウンセリング・マインドを
大須賀 克己
1
1日本グロースセンター カウンセリング研究所
pp.409-412
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207382
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暖かい人間性が基本
助産婦は出産という,人間が人生を始める最も大切な瞬間に立ち会うばかりでなく,その後の親子関係の基礎を形成していく手伝いをする役割を担っています。分娩時の母親は,不安と期待の混乱した状況に置かれやすいので,産婦に対する接し方は大変重要視されます。ですから人の心を微妙に理解できる感受性を持つことは助産婦にとって不可欠なはずです。
この人間理解に特に関心の中心を置いているのがカウンセリングです。カウンセリングといいますと,どうしてもその技術を学びたいという気持ちが先立ってしまうかも知れません。技術を学ぶことも大事なのですが,その根底には,誠実な人間性と豊かな感受性が前提とされてきます。その上に立った技術であれば,それも大変活かされますが,単にこちらが正しいと思っている方向に相手を誘導するための技術と考えてしまうと大変な間違いになります。むしろ,相手を理解する立場にたったカウンセリング・マインドを保健指導の中に導入することが重要なことです。
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