特別寄稿
職場における多発性疾患について—特に婦人にみられる問題点
前田 和甫
1
1東大医学部保健学科
pp.76-79
発行日 1967年8月10日
Published Date 1967/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204012
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
職場における多発性疾患とは
多発性疾患という場合にも,問題の見方,対象として考える人たちの年令,その他問題を取上げる側の立場などによって疾病の種類が違うのは当然のことです。たとえば,死亡率を手がかりとして国全体の立場から公衆衛生上の問題点を探ろうとすれば,いうまでもなく,第1中枢神経の血管損傷,第2悪性新生物,第3心臓の疾患となり,おのずと取上げる疾病がきまってきます。同じようにして,年令を限って,20歳代について考えた場合には,第1に不慮の事故,第2自殺,第3心臓の疾患あるいは全結核となるはずです。
今,産業保健上の立場から取り組もうとすると,職場環境基因の疾病や事故,いわゆる職業病が問題になることが多いと思います。職業病のように特定な疾病や,身体不調を訴える人を探し出そうとすると,そのための特別な健康診断を実施するとか,環境内で特種な有害環境,有害物を見つけ出したりすることが必要になります。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.