特別寄稿
阿賀野川流域に発生した有機水銀中毒症の原因究明について
滝沢 行雄
1
1新潟大学公衆衛生学
pp.49-52
発行日 1967年7月10日
Published Date 1967/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203982
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はじめに
かつて恐ろしい奇病として知られた熊本県水俣病の原因が,水銀物質で汚染された水俣湾内の魚介類の多量喫食による有機水銀中毒症であったことは周知のとおりである。ところが,昭和39年8月ころから翌昭和40年7月ころにかけて,これとよく似た有機水銀中毒症らしい特異な神経系疾患の患者26名(内5名死亡)が新潟県の阿賀野川下流域に集団発生し,われわれにも身辺かな公衆衛生学的問題として衝撃を与えた。
さて,今回のこの奇病について,新潟大学椿・植木両教授はいち早くその本態が臨床所見からみて水銀中毒症との疑いを指摘し,このことは新潟県衛生部に報告され,それ以来,県および国では総合対策に乗り出した。
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