ニュース診断
阿賀野川流域の人びとと「公害問題」
戒能 通厚
1
1東京大学社会科学研究所
pp.57
発行日 1967年7月10日
Published Date 1967/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203984
- 有料閲覧
- 文献概要
「昭和39年末,新潟県を流れる阿賀野川にニゴイやマルタなどの川底に住む魚が,水面で苦しんでおよぎまわっているのを,付近の住民がいともかんたんにとらえ,思わぬ大漁に喜こんでいるとき,これを食べた猫が突然フラフラ歩きはじめ,さいごにはとび上って火の中にとびこみ焼け死んだものもある。また人間も例外でなく,全身がしびれ,目がみえなくなったり,言葉がしゃべれなくなったりして死んだ人もある」
私は新潟県民主団体水俣病対策会議が編集した「怒りは川をさかのぼる」というパンフレットを読んで,正直のところぞっとしました。このパンフレットの題名のようにそういう気持と一緒に「怒る」ことが必要であり,そしていったいこうした「怒り」は誰が解決してくれるのか次に考えました。おそらく,第2の水俣病発生という発表をはじめて行ない,今もなお昭和電工の工場廃液に含まれるメチル水銀が原因となったものであるという追求を続けておられる新潟大学椿教授達も,私など比較にならない,いっそう強い「怒り」から出発されたのでしょう。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.