特集 保健婦現代史―そのあゆみとゆくて
保健婦さんへ/期待と提言
保健婦事業と医療社会事業—保健婦とソーシヤルワーカーはもっと話合いを
浅賀 ふさ
1
1日本福祉大学
pp.114-115
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203838
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福祉国家としての我国の成長発展を願う私は,保健婦事業と医療社会事業がそのおのおのの専門と立場で量,質ともに,もっと本格的な延び方をして,日本の医療,保健サービスを国民のすべてに届くようなものとしたいものだと願っています。勿論保健婦事業は医療社会事業よりは歴史もいくらか長く,制度的にも遙かに確立したものであり,医療社会事業は歴史の浅い以外に日本の文化的風土に,制度として確立するには,やや長い時を必要とするハンディキヤップをもっています。
その故に新参ものの医療社会事業はともすれば存在理由を抹殺されそうになったり,冷遇され,只今は僅かに(保健所では)保健婦事業におんぶした赤ちゃん的存在にあり,この赤ちゃんは何年経っても独り歩きのできない未熟児から脱却出来ないのではないかと恐れます。そのために保健婦さん達に余分の重荷を負わせています。地域の中で両者の果す役割は密接に結びつき,両者は相互依存的,競合的,或は扶助的な関係で有機的に融・統合されなければなりませんし,両者の役割の裾野は時には境界線を引き難い程オーバラップしてもいます。多くの社会的,社会心理的な患者の問題は保健婦さんが保健指導や家庭看護をなさりながら,御相談に応じてあげられるでしょうし,患家に信頼された保健婦さんなればこそ,その御役に立つことができる場合が多かろうと推察致します。
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