講座
保健婦のパートナー医療社会事業
浅賀 へさ
pp.20-23
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200353
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きがまえ
保健婦雑誌編集室より本誌のために医療社会事業に関して書く機会をお与え下さつたことを又となく嬉しく思う私は20年前から近しく手をとりあつて来た保健婦諸姉に保健婦事業の目覚しい発展のために,茲で心からの声援を送りたいと思うものである。保健婦事業も医療社会事業もともに近代文化の産物で,同じ思想を基礎とし,成熟した人格,高度の科学性と道徳性を同じく必要とし,いずれも保健機関を背景にもつて協同社会の偶々にまで浸透して人々の幸福--健康な生活--へと援けて行くのであるが,両者の差は,前者は看護学を基礎に,後者は社会学を基礎にして発展した處にある。保健婦が保健指導と家庭看護の責任を果すためには,病室看護婦よりは社会学的知識を必要とする。且つて社会看護婦の名を使用されたこともある。医療社会事業は社会事業の基礎的方法の一つであるケースワークの一分野として,保健機関を背景に発展したものである。保健や医療の目的を果して行くために医師を中心としてこの両者がどんなに協力して働かねば実を結ばないかと云うことを,世界保健機関憲章は明らかにしている。今茲に憲章が定義づける健康とは何であるかをあげて見よう。
「健康とは完全な肉体的,精神的及び社会的福祉の状態であり,單に疾病又は病弱の存在しないことではない」。
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