特集 公衆衛生と保健婦
海外の保健婦事業
金子 光
1
1厚生省
pp.38-41
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201861
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もうまる3年も前のことなので,昨今のように進歩の激しい時代には,決して新しい話でも,又珍らしい話でもないのですが,御依頼を受けましたので過去の記憶をたどり記録を再びひもといて印象にのこつている欧洲の保健婦事業の一端を紹介することとしましよう。
保健婦事業の発祥の地,英国では,その歴史にふさわしくナースのグループ即ち保健婦,助産婦看護婦の中でも保健婦は最高の地位を占めていますが,同時にその教育についても臨床看護教育3年と助産婦教育1年を完了したものでなくては保健婦の教育をうけることは出来ないことになつています。従つて英国の保健婦は助産婦でもあるわけです。国家試験に合格したものは国に登録され「ヘルスビヂター(Health visitor)」とよばれています。北欧の文明国スエーデンでも,又これに隣するフインランドでも,保健婦の教育をうけるための基礎資格は,臨床看護教育の完了ということになつていて,年令も25年以上,特にスエーデンでは,国立公衆衛生機関にある保健婦学校が唯一の教育機関でありますが,入学資格は26年以上35年までで,特別の理由のある例外を除いては35年以上は入学させないことになつています。従つて平均年令は30年で,町村に勤務する保健婦は30年を越えた人でなくては配置しないことにしてあります。
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