特集 保健婦現代史―そのあゆみとゆくて
第Ⅱ部 私の保健婦ノート
保健婦教育の変遷
井上 幸子
1
1厚生省看護課
pp.95-101,111
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203834
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
保健婦誕生とその資格
日本における保健婦事業は関東大震災を契機として発展の緒についたといわれている。その後各方面において今日の保健婦業務の如き業務が始められているが,その職分は必らずしも一定せず,また名称もさまざまであった。国民保健衛生の予防指導部門の重要性が強調されるにおよび,保健婦的業務の重要性が認識され昭和12年制定された保健所法施行規則の職員の中に新に「保健婦」をおくことが定められた。
このようにして保健婦は生れたが,業務に従事している保健婦の経験や教育は勿論種々であり,これら保健婦の資格を一定し的確なる指導を行なう保健婦を養成しようという気運が高まり,昭和16年7月10日厚生省令第36号をもって「保健婦規則」の制定をみるに至った(資料a)。これによって保健婦になるには1年以上看護または産婆の学術を修業したうえ,地方長官の行なう保健婦試験に合格しさらに3月以上(うち最低1ヵ月はなるべく保健所)保健婦業務を修業したものか,厚生大臣の指定した学校または養成所を卒業する事が必要とされた。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.