実態をさぐる
労働者の休業疾病
pp.62-63
発行日 1966年3月10日
Published Date 1966/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203607
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はじめに
国民健康調査の結果は,よく知られるように,年ごとにリ患率のたかまりをみせている。しかし,それによってうける生産阻害の費用額などはまだ明らかにされていないが,療養日数などをみてもおおよそ推定されるように,かなりの額(国民総医療費を,数倍上まわる程度)に及ぶだろう。死亡や災害は喧伝されるけれど,こうした地味な問題には,ともすると目がひかないのは人情かもしれない。生産損益計算は,かつて疾病コストという名目で試算されたことがある。いろいろむずかしい問題があるため,ともすれば誤解されやすいので,いつの間にか数えられなくなった。しかし,どれくらいの人が,病気で生産活動から脱落するかを知ることは,事業場などの衛生管理で欠かせぬ項目である。神奈川県労働衛生協会・神奈川労働基準局では,昭和39年から休業疾病半減運動をすすめているが,その一環事業として35年以降の1日以上の全休業疾病を統計化することに成功した。関係者のなみなみならぬ苦労のたまものだと思うが,全国的な休業統計がない現在,たいへん貴重な資料なので,ここに紹介する。
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