Special feature 実践力を強化 標準予防策のトレンド
■Detailed 各論でみる標準予防策のトレンド―最新知見と実践テクニック
❼労働者の安全
吉川 徹
1
1独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター 統括研究員
pp.47-52
発行日 2021年1月25日
Published Date 2021/1/25
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000207
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医療関連感染制御の基本は標準予防策と感染経路別予防策である。1996年の標準予防策『隔離予防策のためのCDCガイドライン』では,血液・体液と汗以外の分泌物,排泄物,損傷のある皮膚・粘膜に触れる時は,感染性の病原体を含む可能性を考慮して,手指衛生を行うとともに,適切な個人防護具を着用し,確実な交差感染対策と職業感染対策を行うこととされる。医療従事者の安全の視点は職業感染対策に集約されるが,標準予防策,感染経路別予防策の実施にあたって,米国では針刺し・切創の原因となる鋭利器材取り扱い基準などが整備されている。我が国でも平成17年の院内感染に関する厚生労働省通達により,職業感染防止の項目が新たに追加され,鋭利なものを扱うときは,リキャップを禁止,針などの危険物は耐貫通性の専用容器に廃棄する,安全装置付き器材の活用を推奨するなどの対策が整理された。本稿では,米国疾病管理予防センター(CDC)の『隔離予防策のためのCDCガイドライン』のうち,特に医療従事者の職業感染対策のポイントの整理をするとともに,2020年に公開されたC型肝炎ウイルス曝露後フォローアップの手順,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策における労働者の安全確保,職業感染対策担当者と感染管理担当者の役割についてまとめた。
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