インドネシアからの手紙
インドネシアの風俗と習慣(続)
森 みね子
1
1鹿島でインドネシアカリブランタス出張所
pp.62-63
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203611
- 有料閲覧
- 文献概要
簡単な離婚の手続
一夫多妻制が具体的にはどのようになされているのか,イスラムでは4人までを正妻とすることができる.それ以上の妻はいわゆる公認されない立場をとるのである.多妻制も財力に応じるが,困難なのはもし多妻をもつ者ならば,平等の愛情を注がねばならないことである.が,そこは人間である以上,どうしても愛情の均衡を欠く場合が出てくる.こうした時には,正妻同志が勢力争いをする破目になるということである.しかし一般に権力的には1番目の妻が強い力をもつことになるという.彼女などは同一の家に住むこともあるし,それぞれの家を与えられることもある.
一方離婚についてはイスラムは割に簡単な手続きで終わる.妻または夫がこれを望む時,三下り半なるものをしたためて結婚当時の仲人にさし出すとその人は相手に渡すことによって成立する.もし子供がある場合には,男子は母親に,女子は父親に付くというが.離婚の事情によっては,母方についたり父方についたりする場合があるが,養育費は子供の成長までは仕送りせねばならぬのは日本と同じである.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.