Medical Hi-lite
糖尿病の最近の知見
H. M.
pp.50-51
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203448
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糖尿病は変わりつつある
糖尿病といえば一般に尿中に糖分が出るということのほかに口渇,多食,多尿,倦怠感などの自覚症状を伴なうものであり,美食をして太っている人がかかりやすい病気であるとこれまで常識的に知られている.こうした糖尿病についての認識は最近しだいに変わってきている.
すなわち,インシュリンの発見によってこれまで糖尿病死亡の中心を占めていた昏睡はいっきょに減少した.1923年に発見されたインシュリンはその後多くの改良型が作り出され,最近ではこれに加えて各種の経口糖尿病薬が発見され,糖尿病のコントロールは飛躍的に進歩した.その結果糖尿病は一見すでに克服されたかのような錯覚をわれわれに起こさせている.しかしよく注意をしてみると,これまで糖尿病の蔭にかくれていた合併症としての血管障害がしだいに表面に浮び上がり,糖尿病はすっかりその姿を変え,かえって根強くわれわれの行先に立ちふさがっているのである.こうした結果,治療面でもこれら血管障害に対する対策が最も重要な糖尿病治療の手段となってきている.
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