特集 中小都市の保健活動
くらしの中の公衆衛生活動の現状をさぐる
"くらしの中の公衆衛生"実践活動
栗原 忠夫
1
1神奈川県衛生部
pp.12-15
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203441
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前おき
私が小田原保健所長の職にあった時,その運営の指針として二つのことをとり上げた.その一つに地区組織の培養であり,もう一つは保健所検査室を主軸とする科学の行政への参与である.後者の問題は主題とは少々離れるので,ここで詳細に論ずのは止めるが,前者の関連で,いわゆるくらしの中の公衆衛生という考え方およびその実践活動が生まれてきたのである.
地区組織の培養ということは保健所の持つ本質的なものにその基底があるので,保健所としてはそれを解き,それを発展させてゆくことはどうしてもやらなければならない宿命的荷重であるといえる.そのために多くの先進者もこの問題ととり組み,さかんに検討されてきたが,現在に至ってもなおこの問題は保健所にとって重要な課題たるを失なわないのは,この問題がいかに複雑無数の要素を含む困難なものであるかがわかる.
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