特集 中小都市の保健活動
ルポルタージュ
現地にみる"くらしの中の公衆衛生"活動—地区組織の活用こそ活動の推進力か
田中 恒男
1
,
西村 恭彦
2
1東大・保健学科
2本誌編集室
pp.30-38
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203444
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
小田原城跡は堀にかこまれて静かなたたずまいを見せていた.にぎやかな観光バスのターミナルがなければ,満開のつつじと松の緑が,しっとりとした城下町のおもかげをよく伝えるに違いない.レジャー産業の発達のせいか,観光地箱根をひかえたこの町がペースとして急速に発展してきた.戦争の傷跡からたちなおった小田原の姿がそこに象徴されている.
この小田原が健康都市としてクローズ・アップされたのは,昭和36年の保健文化賞受賞がきっかけだった.このときまでにも市,保健所のつながりは緊密であり,この表彰はそうした活動のあらわれでもある.しかし,こうした表にあらわれた既成事実は,活動を進めるのに有力な根拠となる,おりしも"くらしの中の公衆衛生"をキャッチフレーズに公衆衛生活動の展開をねらった県衛生部の後おしもあって,小田原保健所は市を中核に管内町村の組職化にのりだしたのである.
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.