Medical Hi-lite
中性洗剤
T
pp.58-59
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203416
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中性洗剤をめぐって
かつて主婦層の湿疹が急増したことがある.それは大学病院の外来で気づかれたことが始りであった.主婦あるいは家事作業者に多くみられる頑固な皮膚炎(もしくは湿疹)であることから主婦湿疹と名づけられた.この理由についてはいろいろ考えられたが,1つには中性洗剤の影響によるものではないかととなえる学者もいた.それと相前後して,中性染剤が界面活性剤であることから野菜・果実などに付着したらなかなかおちず,それが経口的に摂取されて肝障害や発ガンの原因となる可能性があるという見解も示された.この点について昭和37年以降1部の学者がジャーナリズムや学界で発表し,いっぽう中性洗剤の有力な媒体である日本食品衛生協会はその反対を唱え,重大な社会問題となるに至った.厚生省もその点を重視して食品衛生調査会に諮問したり,科学技術庁は調整研究として取りあげたりしてきた.現在でもその結論の是非・妥当性については,まだ釈然としたものがなく,まだ多くの異論もとなえられている.さらに最近,下水浄化を困難にする一つの原因としての中性洗剤の問題がふたたびとりあげられ,公共投資対象としての下水処理予算の増額ともからんで,あらためてジャーナリスティックな話題を招いている.
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