とりのこされて・8
根治療法のないジストロフィー
pp.110
発行日 1965年3月10日
Published Date 1965/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203355
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タモちゃん(12)はまるまるふとって,ハトのようなやさしい目をしている.もう3年越しフトンの上で暮している子とはとても思えない.だが寝床から立つことも,ずり出すこともできない体だ.昼間はフトンの上に上半身だけ起こして,足を投げだしたきりである.
両親がタモちゃんの体の異常に気づいたのは幼稚園のころだ.足が遅い,ピョンピョンはねるウサギとびもへた.小学校入学のころからシリモチをつきやすくなった.両手でヒザにつっかえ棒してようやく立ちあがる.東大病院でジストロフィー(進行性筋萎縮症)と診断されたのは1年生の2学期だった.
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