特集 保健婦はなにをする人か
保健婦がきく地区民の声
"健康にならなければ"を阻害するものはなにか
小尾 和子
1
,
大谷 久子
1
1北海道広尾郡広尾町役場
pp.18-20
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203284
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積極的に書けない気持ち
私たちは先日編集部からの依頼を受け取った一瞬,ひじょうに意欲的になりました.それは今まで(活動しはじめてから1年にもなりませんけれど)夢中になって(というような感じ)動いてきた日々の集約が,不満や,不安や,どうしたらよいのかわからぬような混迷さを,地区の人びとの声といっしょに表現させてもらえるような気がしたからです.でも,よく考えてみるとそれらのすべてがいく年も前から,くり返し悩み語られ,書かれてきたことがらなのです.
昨年までは厚生の次元で,時折り訪れる先輩の情熱的な現状矛盾の語りかけや,沈滞とその反省から生まれるエネルギーを感じ,学習から与えられること,雑誌や手記,また短かった実習などである程度現実の保健婦のおかれている位置や.悩みや,矛盾や,しなければならぬことを把握したつもりだったのですが,実際において月なみではありますけれど,自分たちの責任で仕事をし始めた時,先輩のことばや,文字で語られたものが,いかにたいへんなことであり,またなにか根本的なことが解決されぬかぎり,公衆衛生における地区の問題はつねに低次元でくり返されるのではないかと思わずにはいられないこのごろです.ですからこの混沌とした中で今,私たちの歩いている地区の人びとの声を,私たちの声をも含めて語ることに,なにか積極的になれないような気持ちなのです.
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