あい・しんく・そう
Nursingとは何か—入院して考えたこと
D
pp.47
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203108
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私は中堅の保健婦.足を折って入院治療したときに,Nursingということを真剣に考えなおさせられた.学生のときは学生なりに最善をつくし,現場へ出ても自分なりの努力をしてきたつもりだった.だが自分の努力が果たしてどんなものだったのか疑問がモクモクとわいてきた.
入院したところは高看,准看半々ぐらいの構成だったが,患者として看護をうけてみると,もう一つピンとこないものがある.たとえば身のまわりの世話でも,「お変わりありませんか」ですーっと去ってゆく.ちょっと見回わしてもらったり,そばに寄ってくれるだけで,患者はぐっと気分が違うようだ。看護婦の労働は,そんなちょっとしたこともできないくらい忙しいのかもしれない.また,慢性疾患や整形外科病棟では,患者の経過などよくわかっているからNurseも重要視していないのかもしれない.ところが,患者の側からすればもっと心理的な面を重視した看護や処置をしてほしいと思う、かの女たちは誠意をもってやっているつもりかもしれない,しかし,その誠意が相手に伝わらないのでは,結局自己満足に終わってしまうし,患者はおいてきぼりをくってしまうのだ.
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