フロントライン'99 看護とは
Evidence-Based Nursingへの期待—「よい看護」とは何かを考える
田口 芳雄
1,2
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
2救命救急センター脳神経外科
pp.363-367
発行日 1999年4月1日
Published Date 1999/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905816
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昨年11月下旬,1通の手紙が届いた.差出人は本誌(『看護学雑誌』)編集室で,内容は,1)医師からみた救急看護の現状,2)質の高い救急看護とは何か,3)医師として救急看護に期待するもの,の3点についての執筆依頼である.私が時折口にする「看護がよくなければ患者は救われない」という話がことの発端らしいが,正直なところ,この発言は看護の質向上を求めての提言でもないし,ましてや救急看護の現状を憂慮しての苦言でもない.単純にそのように思っているだけである.
私は救命救急センターの看護スタッフに対し,「看護婦としてのアイデンティティを確立しなければならない」などということがあるが,そのわりには先の依頼事項に即座に応答できるほどのまとまった考えはなく,逡巡した.よく考えてみると,もっと基本的な「看護とは何か」を問われた時に,実は私自身が渾沌としていることに気づき,この執筆は救急医療に限らず「医師からみた看護とは何か」,その延長としての「医療とは何か」を考えるよい機会であると思い,原稿依頼を受諾した次第である.したがって,本文が医師全体の考えでないことはいうにおよばず,聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センターの医師を代表するものでもなく,あくまでも私見であることをはじめにお断りしておく.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.