Medical Hi-lite
宇宙医学(Space Medicine)
大島 正光
1
1東大・ME教室
pp.58-59
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203086
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すでに今日にいたるまでに人間の宇宙飛行はソ連が4回,アメリカが弾道飛行を含めて4回,計8回行なわれている.(第1表)人間の宇宙への進出の夢は,これによってその門戸がひらかれたといってもよいものであろう.このようなはなばなしい人類の科学技術の成果のかげにはそれを医学の面から支援するための宇宙医学の分野の活動があることを見逃がすことはできない.人間のゆくところ必ず医学ありといってもよいであろう.とくにソ連がボストーク4号に女性をのせて宇宙飛行をさせたことは,世人の意表をついた意味でも劃期的なできごとであるといってもよいであろう.
さて宇宙医学は具体的には「人間が宇宙飛行をおこなう場合に安全に快適に飛行のできるように支援をおこなうための医学」であるが,関係のある分野はきわめて広い範囲にわたっている学問の分野である.一般に学問の進展する要因にはさまざまなものがあるが,宇宙医学には実際面からの刺激,すなわち実際に人間が宇宙飛行をするという目標があり,その実際面からの刺激が大いに役立っているように思う.宇宙医学の範囲はそれを大きな課題として示すと第2表に示すようなものがある.これらを一つずつ検討し,対策がたてられてはじめて人間の宇宙飛行が可能になるわけであるからたいへんである.
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