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ヨーロッパ精神病院のリハビリテーション
井上 正吾
1
1三重県立高茶屋病院
pp.47-50,56
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203083
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はじめに
精神病者の社会復帰は身体疾患者,たとえば小児麻痺などのように症状が固定したと断定できない点,したがって精神症状が再燃することがあるのでむずかしいし,入院精神病患者の70%を占める精神分裂病者の基本になる障害が,社会に適応できないことにあるから,さらに問題が困難となる.しかし,われわれが特にリハビリテーションとか社会復帰とかという場合には,早期に,しかも完全に治癒した精神病者が自然のなりゆきとして退院し,社会に復帰することをさすよりも,狭義の医学的治療の結果では,不完全にしかなおらず,欠陥を残し,今なお妄想や幻覚がある患者に特別のサービスをなすことによって,その欠陥または症状を残しながらも,社会に何らかの形において,再参加できるようになることをさしている.
私は今夏,欧米9か国をめぐって,主として精神病院の作業療法や,社会復帰のための努力をみることができたので,簡単にのべたいと思う.
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