特集 活動評価
業務内容の数量的扱い方
橋本 秀子
1
1東大医学部衛生看護学科公衆衛生教室
pp.25-29
発行日 1964年3月10日
Published Date 1964/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203058
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最近まで保健婦業務を評価するのに,50%訪問が達成されているかどうかを基準とする考え方があった.こんな考え方を今どきとりあげたら,きっと時代おくれだといって笑われるにちがいない.しかし某県での話だが,事務監査の折"最近保健婦の訪問率が下がってきているから,もっと訪問に精をだすように"という決定があったそうである.ところがその県の保健所保健婦の訪問率は40%上回わっており,訪問をすることだけが保健婦の仕事ではなく,訪問外の仕事量が最近急速に増加しつつある実状について説明をしたところ,"訪問は50%することになっているそうだから"という答があったとのことである.50%という基準がここまでしみこんでいることに注目してよい.
ところでこの50%という数字がばかげているという人たちに,その理由を聞くと,いろいろな答がかえってくる.その内容は別としても「50」という数字のもつ一見客観的な魔力について説明してくれる人がいない.監査をする事務官にしてみれば,深い内容のことはわからないのだから,「50」という数字を信用するのは当然であり,またそのほうが頭をまとめるのに都合がよい.そこでこんな話も生まれるわけである.
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