書評
—編集 日野原 重明—「成人病の発見から管理まで」を読んで
白戸 三郎
1,2,3
1神奈川県教育委員会
2神奈川県教育委員会学校保健課
3前鎌倉保健所
pp.134
発行日 1963年3月10日
Published Date 1963/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202802
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- 文献概要
成人病対策についての一般向又第一線実地医家や公衆衛生関係者向の図書は,私の書棚にも十数種はならんでいる位たくさん出版されている.今回これらに加えて,更に医学書院から「成人病の発見から管理まで」と題して一書が刊行されたのでこれを通読して見てオヤッと思った.題のつけ方も従来のこの種の書物にはない新しさがもられているが,それよりもその内容に本書独特のくふうがもられているのがはっきりわかったからである.
現在臨床医家にとっても公衆衛生関係者にとっても最も関心の深い高血圧症,心臓病,癌,慢性呼吸器疾患,糖尿病を取りあげ,そのおのおのについて,早期発見や診断の方法,病気の症状,今日の治療法の最新の姿,再発または悪化防止のためのひとりびとりの患者の管理,集団検診の方法等が,かなり詳しく,それでいて分り易い文体で書かれているばかりでなく,従来のこの種の書物には見られない「保健婦による成人病の指導」の章が設けられていて前記の各疾患の保健指導の重点が,小憎らしいくらい明快に要領よく日野原重明氏によって書かれている.この一章がどれだけこの書物に光彩を添えているかは,本書を読まれた方々は理解されることと思う.
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