--------------------
各党の医療政策
水野 肇
1
1医事評論家
pp.60-62
発行日 1963年1月10日
Published Date 1963/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202738
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
"政治"の段階にきた医療制度
"日本の医療制度は応仁の乱だ"といわれている.麻の乱れるようにこんがらがつて,一体どこから解きほぐし,どこのもつれをひもどいていいかわからないぐらいだというわけだ.日赤ストから始まつた問題は,保険の点数をめぐる医師会と厚生省の対立,現在は多少小康状態のように見えてはいるが,解決されたわけではなく,底流としてはいつもくすぶり続けている.国民の側からみると,まるで"医者の算術をめぐつて日医会長と厚生大臣が渡り合つている"としかうつらないが,もし,それだけのことなら,保険の点数の改正か,1点単価の値上げによつて,解決するはずである.それが,いつまでもくすぶつているのは,保険の問題はほんの"氷山の一角"にしかすぎないということなのだ."医療"から見た場合,たとえば,医師の偏在,専門医制度,看護婦不足,保健婦が活躍するための条件,医療従事者の労働条件や給与などなにひとつ解決どころか,解決しようとの"かまえ"さえ見えないともいえよう.第一,表面的に問題となつている保険の問題でも,抜本的なことはほとんど論じられていない.バラバラで9種類もある保険を1本にすることや,甲表,乙表という矛盾した現状など,そのまま放置されている.放置というより手がつけられないというのが現状のようだ.こうなつてくると,厚生省や医師会,健保連といつた単に利害関係を持つ団体だけの問題ではなくなつてきたともいえる.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.